桜坐の宴 01



その日、小十郎宛に届いた手紙は意外な人物からのものだった。吉の妹、市だ。吉が片倉に嫁いでからは、実家の織田家に身を寄せているはず。
内容は他愛もないものだった。

ねえさまがお嫁に行かれてからいかがですか。ねえさまはお元気ですか。いつか義兄さまにもお会いしたいです。

想像以上に幼さを残した文だった。流麗な文言を操る吉とはだいぶ違う。
あの触手で書いたのかな、とやや考えたが、さすがにそれは穿ちすぎか。
近いうちに返事を書かねば無礼にあたる。しかし火急の用でもないのに姉婿に手紙を出すとは、世間知らずの噂は本当のようだ、と小十郎は少々呆れてしまった。
「お前の妹殿から手紙が来たぞ」
夕餉の時、ふと思い出して吉に言う。吉は箸を止め、夫を見る。
「そ」
そしてまた食事を再開する。この態度は意外だった。
「それだけか」
「何だえ」
「いや、懐かしくねえのか」
「別に。元々縁薄き姉妹であるもの」
恐るべき姉妹として名を轟かせていたじゃないか──小十郎はそう思ったのだが、吉の横顔からして、これは口に出してはいけないな、と理解した。そもそも吉は嫁ぐ前のいくさのことを語りたがらない。
「どうせ」
ぽつりと吉が言った。
「わらわの近況を窺う振りをして、おまえさまにお会いしたいと申しておるのであろ」
「よく分かったな」
「あれはいつもそう。昔から」
吉はしばらく黙っていたが、やがて箸を置き、「しまい」と言って席を立ってしまった。小十郎は面食らう。いつもは小十郎の晩酌が終わるまで、自分が食べ終わっても傍にいるというのに。
「おこう」
「はい」
控えていた侍女も面食らった顔をしている。
「機嫌、取っておいてくれねえか」
「──旦那様が晩酌をお早めに済まされて、ご一緒されますのが一番良い方法だと思いますけれど」
「……あいつが機嫌悪い時はお前でも嫌だよな。すまなかった」
「お役に立てず心苦しゅうございます」
侍女に難儀を押し付けようとした自分を戒め、小十郎は「今日はもう、酒はいい」とおこうに言いつけたのだった。
そもそも、家で一人で飲んでも美味くない。結婚してからそう思うようになった。


吉は畳の上にだらしなく寝転がり、愛猫のこまをじゃらしていた。部屋に入って来た夫を見ることもない。これは相当機嫌が悪いと看破し、小十郎は下手な手を使うことを諦めた。こういう時は単刀直入に訊くことにしている。吉の性格か、その方が良い結果に繋がることが多かった。
「こま、お前は外だ」
「にゃ」
吉が嫁いで来てから飼い始めた仔猫は不満そうな声を上げたが、主の夫にひょいとつまみ上げられてはたまらない。名残惜しそうに吉を振り返りつつ、廊下を歩き去った。
「とりあえず、来い」
障子を閉めて吉の前に座り、胡坐をかいた膝を叩いてみせる。吉は暫し小十郎を見上げていたが、やがてのそのそとその膝に上った。茶を持って来たおこうが僅かに障子を開 けたのだが、入りそびれたことを悟り、廊下に茶を置いて行く。すぐに冷たくなってしまうが、熱い茶が必要になったら吉が呼ぶはずだ。
「何が不満だ」
膝の中に収めた吉の額に、自分の額を寄せる。
「不満」
「妹殿──市殿か。確かに、姉婿の俺に手紙を出すのはおかしなことだが、少しは笑い話にもできねえのか」
「どうでもよいから」
「嘘言え。じゃあ、俺は普通に返事を書くぞ。それでもいいのか」
「お好きになさりし」
「馬鹿言ってんじゃねえ」
それが明らかに強がった言葉だと分からないほど、妻を理解していないわけではない。吉は諦めたように息を吐き、夫の首筋に顔を埋めた。
「あれはいつもそう。わらわの目の先におる者に、すべてすべて、興味があるの」
「ねえさまが好きなんじゃねえのか」
「あれは十三まで、わらわが実の姉と知らなかったのだえ。好きもいやも、わらわにはよう分からぬ」
「そんな時期まで?」
意外と言えば意外すぎる言葉だった。よしんば離れて暮らしていたとしても、姉の存在を本家の娘として知らされぬはずがない。
「かかさまが、わらわが姉ではなく、御陣女郎と教え込んでいたようで、ナ。ずうっとそう思うておったのであろ」
「──そうか。綺麗な姉貴がいるのに、もったいなかったな」
小十郎は敢えて、その話を軽くからかうように流す。吉が実母から疎まれて育ったことも、その実母に女郎と呼ばれ続けたことも全て吉自身から以前聞いて知っていた。二度と口にしたくもない話だった。
吉は夫の気遣いに僅かに笑い、首筋に強く顔を擦り付ける。小十郎はその髪をできるだけ優しく撫でた。
「わらわを姉と知ってからはやたらと纏わりつくようになって。まつりごとやいくさに口を出すでもなし、放っておいたのだけれど」

最初の餌食は吉が目をかけていた良家の跡取りだった。
市が興味を持ち、文を遣り取りし、その幼い言葉選びや垣間見る美貌にすっかりのぼせ上がった跡取りは、やがて市との結婚を夢見るようになった。それだけならばまだしも、織田家の乗っ取りを画策したのだ。いち早く気づいた吉が家を潰して跡取りを処刑し、織田家は事なきを得た。
市は自らの行為を悔することもなく、「まあ、いい人だったのに」と呟き、周囲を戦慄させたものだった。
それは繰り返され、じきに他領地から使いに来る男たちにも興味を持つようになった。中でも領土開発の援助を受けていた関係から、頻繁に使いを寄越していた尼子晴久の使いは顔を覚えられ、市がやはり同じことを始めた。
やがて市は彼が持って来る、晴久から吉への手紙を読みたがるようになった。使者は一度だけ市の懇願に耐え切れず、書を渡してしまった。
これは吉の手に書が渡った途端、発覚した。使者は見事に手紙を元に戻したのだが、騙される吉ではなかった。さすがに吉は市を厳しく叱責し、どれほどまずいことをしたのかを言い聞かせたが、市は叱責に驚き、泣くばかりで話にもならなかった。
そして日にちが経った頃、不意に思い出したように吉に問うたのだ。

ねえさまは、尼子晴久殿とどういうご関係なの。
晴久殿は、ねえさまにお優しい御文を書くのね。
市ね、分からないからみんなに訊いたの。
だあれも教えてくれなかったのよ。

市が訊いた者の一人の口が軽く、噂は即座に広がった。これがきっかけで、晴久は進んでいた縁談が潰れることになった。政略結婚極まりないもので、相手は 毛利の一族の娘だったのだが、織田に滞在していた毛利の者が国元に「織田上総介信長と尼子晴久、極めて親しい仲」と伝えたのだ。
「織田信長」のありもしない嫉妬を買うことを恐れた毛利側が縁談を断り、大変な騒ぎになった。他にも多くの理由はあるが、これも一因となり、尼子は毛利とは良い関係が築けないままでいる
晴久が吉に優しい手紙を書くのは、晴久の昔の慕情ゆえだった。晴久の初恋が吉だということと、今では姉のように慕っているということは、国元では領民までもが知っている話だ。政務とはいえ、少しばかり色よい言葉を綴ってしまうのは人として仕方ないし、吉もまた、弟のように可愛がる晴久に優しい言葉を返すのは当然だった。
吉は公式に、織田の不手際で縁談を潰したことを深く詫びる使者を送った。
それに対し、監督不行き届きかそもそもの原因である、お詫び頂戴する由縁なし、むしろ尼子の罪を見逃してもらう礼を、と、晴久が直々に尾張に現れた。
この時、既に市の性質を思い知っていた吉は、晴久に決して市を会わせぬよう、側近にくれぐれも言い渡した。
市は絶対に晴久に興味を持つはずだ、と思ったのだ。それは正しかった。
しかし一人の家臣が市に懐柔され、晴久が滞在する部屋を教えてしまった。市は無邪気に晴久を見に行った。
そこは地方領主とはいえ一国の主、そしていま少し生まれるのが早ければ、天下取りに食い込んでいたと専らの評判を取る晴久だ。他の男のようにはならなかった。
無意識に男を刺激する市をいなし、国のこと、吉とのことを訊かれても「さあね」と言い続け、手紙を書いてもいいかと訊かれれば、俺に用事があるならきつに伝えなよ、と突き放した。
今までのように「言うことを聞いてくれない男」に苛立ったのか、市は何と吉にこの話をした。

ねえさま、あの人、酷いの。市がお願いしても言うことを聞いてくれないのよ。

吉は絶句し、市を晴久に会わせた家臣を処罰した。市には何を言っても通じなかった。精々政略結婚の駒に使うしかないと決めたのはこの頃だ。

──きつの妹の悪口、言いたいわけじゃねえけど。

改めて謝罪された晴久は、吉に小さな声で言った。

──市殿って、やばくねえか。見た目は普通なのに、普通じゃねえような気がする。

それからは光秀が市のあしらいに長けるようになった。きぐるい同士分かり合えるのですよ、と光秀はあの冷たい笑みを浮かべて言っていた。
市はそれからも、吉に関わるものに纏わり着いた。人も、物もだ。
悪気なく興味を持ち、悪気なく欲しがり、悪気なく吉を苛立たせた。やがて吉が冷たいあしらいをすれば泣き、ねえさまは市が嫌いなの、とさめざめと訴え、望む答えがもらえるまで纏わり着いた。
長政と結婚してからはそれも落ち着き、むしろ姉妹仲は好転したと言ってもよかった。
織田信長が戦乱の親となるまでは。


一気に話した吉は、疲れたように息を吐き、夫の首筋に唇をつける。小十郎はその頬を撫でて顎を上げさせ、少しばかり丁寧な口づけを与えた。過去のことを話すと、吉はいつも酷く疲れた様子を隠し切れない。当時、必死で押し殺していた感情を思い出し、またそれを押し殺さねばならないからだろう。何度も口づけを 与え、小十郎は吉の抱える闇の根深さを憎む。
「返事を書くのは、やめておく。元々縁のない相手だ。書く必要もねえさ」
小十郎は静かに言った。吉は何も答えなかったが、僅かに息を吐き、安堵の様子を見せた。
妻を抱き締める。大丈夫だ、と言葉でなく、体温で教えた。
小十郎と共になるまで、甘えることを知らなかった、許されることもなかった女は、抱き締められた時の常で夫の胸の合わせを掴む。
その控えめすぎる動作を精一杯の甘え方だと知っている小十郎は、ただただ妻をいとしく思い、髪に、額に、頬に唇を何度も落とした。



それからしばらく、市の話は出なかった。小十郎もやがて文の存在を忘れる。
吉は相変わらずで、家の中を取り仕切り、こまを構い、手紙を書き、城下街へ行く。そして小十郎のために家を整え、小十郎が帰宅すれば嬉しそうに迎える。
その日の吉はいつにも増して機嫌がよかった。機嫌のよい妻を見ると一日の疲れも飛ぶ性質の小十郎としては、何を置いても嬉しいことだった。そして小十郎も、今日は吉にいい土産がある。
「おまえさま、お聞きたも」
「どうした」
家着に着替えた夫が、夫婦の部屋に腰を落ち着けるのももどかしいように、吉は小十郎の袖を引く。手には誰かからの文を持っていた。
「ゆきが、明くる月。こちらに参ると」
「──何だ、もうお前に知らせたのか」
小十郎の土産はその知らせだったのだ。実の弟以上に可愛がっている真田幸村が奥州に来るとあれば、政治的なことからはすっかり興味を失った吉としては、ただただ嬉しいことだろう。
「政宗様が来月、茶会を開かれる。それに招待したら、今日、参加の手紙が城にも着いた」
「茶会? 仔竜が?」
吉が呆れたような顔をする。小十郎は吉の言いたいことが分かり、苦笑した。
「お前がやってたようなものには敵わねえだろうが、まあ、奥州が力だけじゃねえってのを示すんだ」
「他はたぞ」
他に誰が来るの、という意味だ。小十郎は思い出すまでもなくそらんじた。伊達領内の名高い歌人、茶人、他領にも伺いを立てている。主だった顔は甲斐の虎の名代として真田幸村、呼んだわけではないがどこからか話を仕入れ、勝手に到着予定日を知らせて来た家康。そしてふと思い出した。
「尼子晴久殿も来るぞ。半年前から奥州と貿易をしているからな。あそこは陸路もいつの間にか強くなっていた」
「ま、──晴久が。晴久が、なァ」
吉は本当に嬉しそうだった。小十郎は夫として複雑な気持ちがないでもないが、吉が自分以外の男に対しては一切恋慕を持たないという自信が辛うじて嫉妬心を抑えていた。何より、吉がここまで嬉しそうな顔をすることが嬉しかった。
「そろそろ、細かい話をしようと思っていたんだが。うちに真田が泊まることになっている。仕度を頼む」
「ほんに? ゆきが片倉の家に泊まるのかえ。城ではないの」
「家康殿と尼子殿は城だが、まあ、お前が会いたきゃ会えるだろうさ」
本来なら吉も、竜の右目である片倉小十郎の妻として茶会に出る立場だ。むしろ政宗に妻がない現状、女亭主としての振舞いも期待される。
だが政宗は一度として吉にこういった席への参加を強制したことはない。小十郎を通じて「まあ、よかったら」という態度を貫いていた。吉自身も一度しか出た ことはなかった。他家の男には小十郎がいない隙に言い寄られ、その奥方には睨まれる、そして何より、政宗に頭を下げるなど真っ平。政宗とて吉に演技でも頭 を下げられると居辛くて仕方ない。こういった理由で、吉は「奥州筆頭公認で」公式の席を欠席していた。どうしても片倉家が中心にならねばならない時には諦 めて出る予定だが、今のところ、その予定はなかった。
「竹千代もなァ。すっかり逞しゅうなって」
「今回、呼んでもねえのに参加するなんて言いやがってな。お前に会いたいんだろうよ」
「昔からあの子は甘えん坊で、ナ。織田におった時に──」
珍しく、吉は自分から昔の話をした。いくさや政務に関わる前のことなら、楽しい記憶もある。気づいた小十郎はなぜか安堵し、吉の話を楽しんだ。
吉の話を聞いていると、吉の周囲に人が集まる理由が分かる。理路整然と分かりやすく、思い出を話す時にも時系列を混乱させない。聞いている方はまるで物語を楽しんでいる気分になる。

──そういえば、政宗様も政務ではこんな話し方を心がけておられる。

政宗はある時を境に、今小十郎が思ったようなことを心がけるようになっていた。
吉が奥州へ来てからだ。政宗が小十郎には言わず、吉の顔を見に片倉の邸に寄った。
吉に色々と質問をしたが、吉はろくに答えなかったと言う。
政宗がいとまを告げた時、吉は初めてまともに口を聞いた。

──取り散らかった申し様しか出来ぬのであらば旦那様がお側におられなんだ時はわらわに向けて言を発するでないわ。

政宗の衝撃は生半なものではなかった。
だが数日後、改めて政宗が訪れた。小十郎と吉が片倉家で揃って政宗に会ったのはこれが初めてだ。

──確かに俺は小十郎の補佐に甘えて、きちんと話さねえ時もあったと思う。姐さんが叩き出してくれたから、自分で考えられた。ありがとう。

全く話を知らなかった小十郎は政宗から初めて経緯を説明され、自分の妻の行為に結婚生活初の胃痛を感じた。
吉は涼しい顔で「礼が申せるのかえ。行儀のよい仔竜ではないの」と言い、政宗を苦笑させ、さすがに小十郎に咎められた。「織田信長」を咎めるなんて小十郎しかできねえよなあ、と思いつつ、政宗はそれから、吉を特別に扱うようになった。
政宗の特別扱いは他家の奥方たちの嫉妬を煽ったが、やがて吉の元に各国の武将からの結婚祝いが届けられるようになると閉口するしかなくなった。

そんなことを思い出しつつ、竹千代であった家康の幼い頃の話に、これも珍しく小十郎が大笑いしていた時、おこうが客人の訪問を告げた。もう夜も更けたというのに何だ、と夫婦は首を傾げる。
「政宗様でございます」


ここで普通の家臣なら、すぐにおもてなしを、すぐに着替えをと大騒ぎだろうが、そこは小十郎、政宗がそういったことを望まないのを知っている。いつものまま出迎えた。吉は無論、あれ以来出迎えることもない。使用人たちは最初驚いたものだが、政宗が「あの姐さんには日の本の全てが頭を下げるべきだったんだぜ」と冗談めかして、だが笑わぬ目で言ってからは、気にしてはならないことなのだと心に刻んだ。
「よう、小十郎。夜中に悪ィな」
「いえ。いかがなされました」
「姐さんとよろしくやってなかった? 邪魔してたらsorryってね」
「またお戯れを」
今日はたまたま話し込んだからです、いつもならもう二人で寝間に引っ込んでるんですけどね、と付け加えるのもまた一興かと思ったが、口ほど男女の秘め事に長けていない政宗が真っ赤になってしまうのが分かっていたのでやめておく。
「あーそう。ならいいんだけど。姐さんはもう寝てんの?」
「起きていると思いますが」
「あ、これ、土産。梅屋が献上してきた流し物で悪ィけど、姐さん、桜餅好きか」
「甘いものなら大抵なんでも好きなようですが──わざわざ恐れ入ります」
恭しく押し頂き、さて、と小十郎は政宗を見た。伊達に幼い頃から傍にいるわけではない。
今の政宗は重要な話をしようとしている。こんな時間に、そして小十郎が明日いつも通りに城に上がると知っていながらもやって来るということは急ぎの用事だ。精神的に小十郎に頼りたい時は使いが来るか、察した小十郎自身が家に帰らない。だが今は明らかに急ぎの用事だと見て取った。
「姐さん、呼んでくんねえ? お前と姐さん両方に用事だから」
「かしこまりました」
用件はまだ訊かず、とにかく吉を呼ぶよう、控えていた家人に言いつける。
しばらくするとなぜかおこうがやって来た。
「旦那様」
困ったような顔で障子の裏から呼びかける。小十郎は嫌な予感を通り越し、諦めの溜息をついておこうに近づいた。
「奥様が」
「──『なにゆえわらわがゆかねばらなぬのだえ、用もなし』か?」
「ご名答にございます」
公式の場以外では「片倉家の妻」として主君に頭を下げる気もない女が、先触れもなく訪ねて来た(吉の階級では無礼にあたるような行為)政宗に、確かに呼ばれて顔を出す義理もないという考えなのだろう。しかし毎回こうだ。小十郎はそのたびに胃が軋む。
だがいい加減、こういった時の妻の扱いも心得ていた。
「政宗様に頂戴した梅屋の桜餅を食べたいんだが、良い茶が分からねえ、淹れてくれ、来ねえなら俺が全部食うぞ、と伝えてくれ」
「そんなので来るもんか、姐さんが」
政宗が笑う。