※女体化注意※アプリテスト

SSとか

wordpressのスマホ用アプリを×年振りに入れたので諸々テスト。

 起きたくないと抵抗してもその音は無慈悲だった。深い場所で静かにたゆたっていたはずの意識を引きずり上げ、まだ明けない夜の中に放り出す。
 春の嵐と呼ぶにはまだ早い。だが窓を鳴らす風は強過ぎて、しばらく眠れない予感に溜息をついた。
 時計は4時を指している。隣のベッドのピノコは穏やかに眠っている。少しずれた掛け布団を直してやり、再び眠ろうとしたが、風の音が邪魔をした。
 一度気付くと寝苦しい気圧も感じ、もうひとつ溜息を零してからカーディガンを羽織り、静かに寝室を出る。
 冷え切った空気はますます眠りを遠ざける。もう眠れないかも、と思った。
 ──昼寝すればいいか。患者が来たらピノコに起こしてもらおう。
 少し早いが暖炉に火を入れてしまおう。この風の強さと既に感じ始めているじんわりとした空気の様子だと、昼間の気温は上がりそうだが、明け方の今はまだ寒かった。
「え」
 居間に入って目を疑い、一瞬息を呑んだ。暗い居間の窓際にぼんやりと浮かぶ銀髪に安堵の溜息をついたのはその直後だ。起きてから何回溜息をついただろう、と苦笑いしたくなった。
 風の音はすぐ側の窓枠をも揺らしているのに一向に起きる様子がない。
 電気は点けなかった。暖炉の上に置いた小さなドール型のランプだけを点け、間接照明代わりに柔らかい光を産む。
 男が眠り込む揺り椅子の隣のサイドボートに置くと、白い肌と銀髪が少しはっきり浮かび上がった。
 コートを着たまま寝息を立てる男をどうしようか、しばらく考える。暖炉を点ければ良かったのに、それは遠慮したのだろうか。勝手に上がり込んで勝手に家主の揺り椅子で眠り込む図々しさとは違う次元の問題なのかとBJは呆れる。
 しばらく寝顔を見る。暖炉に火を入れて部屋を暖めれば、コートが暑くなって起きるだろう。それから客間で寝ればいい。
 だが手が勝手に動いて男の肩を撫で、唇が勝手に言葉を零した。
「ねえ」
 この男を愛するまで、自分の中にこんな声があるとは考えもしなかった。
 甘えてねだる。そんな声が。
「ねえ、起きて」
 wake up,honey.
 男の国の言葉で耳元へ囁く。起きてよ、あなた。
 普段あま言わない甘い呼びかけも、今なら風の音に隠して口にできた。
 髪の色よりも少し濃い銀の睫毛が震え、ゆっくりと目が開く。眠そうな青い瞳がひとつだけ覗き、それからBJに笑いかけた。瞳の中の自分が嬉しそうに笑っている、とBJは知った。
「いつ来たの」
「4時前、ついさっきだな。空港からだとこっちの方が近かったから」
「今回どこだった?」
「ベルリン」
「ふうん。暖炉に火を入れるから客間で寝てよ」
「時差調整したいから起きてるよ」
「わたし、寝ちゃうかもよ」
「それはご自由に」
 揺り椅子から立ち上がって軽くキスをし、キリコは暖炉に火を入れに行く。自分でやる予定だったBJは手持ち無沙汰になり、ドール型の灯りでキリコの手元を照らすことにした。 
 電気を点ければいいのに、とはどちらも言わなかった。
 暖炉の火は急速に部屋を暖めてくれる。暖炉の前のカーペットに座り、コートを脱いだキリコの肩にもたれながらぼんやりと火を眺めた。
 風の音を縫うように薪が爆ぜる音がして、冬と春の境目にいるような気分になる。そう言うとキリコは笑い、そうだな、と言った。
 取り留めのない話をするだけなのに密やかな声になる。風の音にかき消されそうで、身体を寄せる言い訳になった。
 立てたキリコの膝の中に入り込み、後ろから柔らかく抱き締められて心地よい。
 ドールと揺れる炎の灯りの中、いつの間にか睡魔に襲われる。あれだけうるさかった風の音は、好きな男の腕の中に逃げ込めた途端に子守歌になった。
 おやすみ、と、甘くて低い、大好きな声で言われたような気がした。返事をする前に意識が静かに暖かな居間の空気に溶けた。

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途中でアプリをアンインストしてスマホのブラウザから直接管理画面に入って書きました
(つまりアプリを使う気が失せた)

SSとか

Posted by ringorira